1.痛みはなぜ戻ってしまうのか
治療によって痛みが改善しても、治療回数が少ない時期は、時間経過とともに痛みが戻ってしまう事があります。お役立ち情報 痛みの回復段階とは でも説明したように生体内の自然の反応でもあります。
痛みの戻りに関しては、いくつかの要因が考えられます。
治療としては、筋肉を広い範囲でさらに緩めていったり、バランスを整えていく為に弱い筋肉を鍛えていったり、筋肉への治療だけでなく骨格調整や内臓治療などを実施したり、不良姿勢の修正を図っていきます。
それと同じくらい大切なのは、日常生活の見直しです。治療以外の時間、つまり日常生活の時間の方が圧倒的に長いことが明らかであり、更には慢性的な腰痛を抱えている方ほど見直すポイントが多いのです。これを機会に確認してみましょう。 良い生活習慣は良医に勝るのです。
① 柔らかすぎるソファや布団
柔らかすぎるものは、体が沈み込んで骨盤が傾く為、腰椎の緩やかなS字カーブがゆがみやすく、また、立ち上がる時の腰の負担も大きくなります。
少し硬いくらいの方が自然と骨盤が立ち、腰椎のカーブも保てるため腰に良いです。
② 暴飲暴食
体重増加による腰の負担だけでなく、暴食の為に胃が下に引き下げられ、胃の下に位置する腸を圧迫する事で負担が生じ、特に身体の伸展やひねりで痛みが生じてしまう。
また不消化の食物が活性酵素の発生を引き起こし、これが慢性的な痛みの原因となるという学術発表もあります。
③ 喫煙
肺に負担がかかることで、横隔膜が硬くなります。腰痛の原因として代表的な大腰筋は横隔膜と密着している為、結果として硬くなってしまい、動作時の腰の痛みを引き起こしてしまいます。
④ 少ない睡眠時間
ストレス・悩み・疲れで睡眠時間が少なくなると慢性疲労が抜けないだけでなく、身体の調子を整える自律神経の働きが乱れてしまい、弱い痛みが何倍にも強く感じられたり、心因性の腰痛を引き起こしてしまいます。
⑤ 短時間の入浴
湯船にゆっかりつかり、身体の芯から温める事で筋肉は緩み、血流も改善するので痛みは軽減するが、湯船は短時間だったり、シャワーだけで済ませてしまうと、その痛み改善の機会が減ってしまいます。
⑥ ハイヒールやペタンコな靴
ハイヒールなどの踵の高い靴をはくと骨盤が前に傾いてしまい、背骨のS字カーブがゆがみます。また、ハイヒールやサイズの合わない靴をはくと上体のバランスが崩れ、それを補おうと腹筋や背筋に余計な力が入って筋肉が緊張します。
靴底が薄い靴や硬い靴も、歩行時に腰にかかる衝撃が大きくなります。その結果、筋肉の損傷や腰椎の 負担増による腰痛が起こりやすくなります。
⑦ 長時間のデスクワークや車の運転
例え良い姿勢であっても、長時間同じ姿勢を続けると腰の筋肉が緊張して、血液の循環が悪くなり筋肉が疲労します。立っている時より、座っている時の方が腰にかかる負担が大きいため、30分に一度は姿勢を変えましょう。
⑧ 冷えや圧迫
冷房、薄着、冷たい食べ物や飲み物などで腰を冷やしたり、きつい服を着るなど腰を締めつける行為は、筋肉を固く緊張させて血液の流れを悪くします。筋肉が固くなって柔軟性がなくなると、負荷や衝撃を吸収・分散する働きが弱まり、腰椎にかかる負荷が大きくなります。
⑨ 荷物の運び方
荷物を持ち上げる時には膝をしっかりと曲げて、身体に近づけて持ち運ぶと腰に負担はかかりません。膝を曲げずに持ち上げると、腰への負担が増大します。
また荷物は両手に振り分けることで負担は分散されます。
⑩ 高い所の物を取るときは
急いでいるときにも、なるべく台を用いる事で、身体の伸展時に腰の負担は軽減されます。
また洗濯物を干す際には竿の高さを下げる事で、腰痛予防になります。
⑪ 長時間、立っているときには
仕事や家事などで、長い時間立っていなくてはならない時には片足を敷台に乗せてあげると、 骨盤の傾きが緩和され、腰が反り返らずにすむため、腰が痛くなるのを防ぐ事ができます。
以上、日常生活において代表的なチェックポイントを挙げてみました。これらの行動を見直してみるだけでも、痛みの改善効果は変わってきます。加えて、これらのチェックポイント以上に大切な事があります。それは「姿勢」と「基本動作」です。
この2つの要素は、様々な動作の基礎となるものです。こちらもお役立ち情報の中からみていきましょう。